音読3
- studiosnz
- 2006年9月20日
- 読了時間: 4分
2006.09.20(Wed)

音読の三回目は「何を読むか」です。何を音読するか、考えてみます。
1.教科書及びテキスト
これは、宿題になっていることもありますので、子供たちもやらなくちゃ、という気持ちになるようです。
宿題で練習しているときなどは、背中でもかまいませんので、どうぞ聞いてあげてください。聞き手を意識しながら読むことは、とても大切な事です。発音を明確に、文章のリズムを崩さずに、聞き手にわかる音量で、と意識する点が多いからです。
また、教科書は大使館や総領事館などに申し込むと学年相当のものが無償で配布されます。海外ではなかなか日本語の書籍類や学習問題集などが手に張らないので、これはとてもうれしいことですね。
2.諺・慣用句
諺や慣用句には面白い表現が多くあります。諺カルタや、諺を扱った絵本などを通して、音読・暗唱に取り組めそうです。
普段の会話の中にことわざや慣用句をうまく取り入れてみるのもよい方法だと思います。大人が使っている表現を真似することも、子どもたちは好きですから。
3.名文
NHKの『にほんごであそぼ』や、斎藤孝氏の『声に出して読む日本語』などの影響で、名文ブーム、音読ブームが起きています。中で取り上げられているのは、古典近代文学の冒頭部分や、詩・俳句・短歌。歌舞伎や落語の一説と、多種多様です。全文を読まなくても構わないのです。冒頭の一節だけでも、十分豊かな世界が広がります(名文だからこそ?)。何より、日本語独特のリズムや言い回しを知ることに繋がります。
4.論説文・評論文
日本の国語教育は文学傾倒のきらいがあります。学習言語が発達してくる高学年では、文学作品だけではなく、意見を明確に論じているような論説文・評論文を音読のテキストにするのも効果的です。主述の関係が明確な文章は、文型練習にも役立ちます。
この他にも、音読の材料になるものはいくらでもあります。故郷の市町村のキャッチフレーズや、童謡、唱歌、わらべ歌。家庭の中に、優れた日本語環境を持ち込むことは可能です。家族一緒に音読したり、暗唱会をしたりと、工夫もできそうです。
ここで、私の教室での取り組みもご紹介します。
読み物教材テキストを使用しているクラスでは、毎回のレッスンで「音読」があります。一人が一文章(句点で一区切り。会話はカギカッコ一つで一区切り。)ずつ読む(一人一文読み)、一段落ずつ読む、といったリレー読みをします。これは、どの子にも音読の機会を与えるということ、順番に回ってくる自分の受け持ちを読むために常に集中力が必要だと言う事、同じように自分の順番を知るためにも他の子どもたちの読みを聞く、などの意義があります。
単元や場面の終わりには、音読テストと称して、まとまった文章を音読する事もあります。事前に指示した場合、ほとんどの子どもは家庭で練習をしてきます。高学年以上になると、その場でテストを告知することもあります。短い練習時間の後、本番となります。子供やクラスによっては「完璧読み」を指示します。一字一句間違えず、つっかえずに読むことを目標とするテストです。間違った時点で読みは中断され、次の子供の番になります。授業の時間によっては、再挑戦は次回と言う場合もありますが、できるだけ同じ時間内に再度テストし全員合格を目指すようにしています。
「群読」を取り入れることもあります。代表的なのは詩ですが、物語文、説明文でもテキストになります。一つの作品を、ソロ(一人読み)アンサンブル(二人ないし三人読み)コーラス(全員読み)にパート分けした台本を作ります。自分の担当を決め、声を重ねたり、一人で朗朗と読んだりします。これは、声の重なる面白さを味わうためです。また、目的があった方が、音読の練習にやる気が出ます。
最後に、音読の指導に限らずいえることですが、子供たちが文章の意味をどのように読み取っているのかを知る必要があると思います。文字を一文字ずつ読んでいるのか、単語の意味を理解して読んでいるのか、文全体の文法を理解して読んでいるのか、といったことです。一文字ずつ読むという段階では、読んでいる子供本人も、内容の理解はなかなかできませんので、指導の目的・方法・対処などは当然配慮が必要になってきます。
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