海外に暮らす子供たちの日本語は継承言語になる
- studiosnz
- 2006年8月21日
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2006.08.21(Mon)

海外で生活している子供たちは、様々な環境で暮らしていることと思います。
ここでは、私の教室の子供たちについて考えていきたいと思います。
教室の子供たちの中には、保護者が海外へ永住したために同行している子供がいます。
日本で生まれてニュージーランドに、というケースが一番多いのですが、日本以外にも様々な国で生まれ、その後ニュージーランドに来た子供たちもいます。
また、保護者がニュージーランドへ移住した後に、ここで生まれた子供も大勢います。
ご両親ともども日本人のご家庭もあれば、どちらかが日本人という国際結婚のご家庭もあります。
そんな子供たちは、生活している国・ニュージーランドの言葉:英語とも無関係ではいられません。
テレビからは現地の言葉が流れてきますし、町を歩けばお店の看板や道路標識、駅の名前、壁に貼られたポスター、レストランのメニューなどに、英語が使われているからです。
スーパーマーケットに並んでいる商品のパッケージにも、英語が使われています。
図書館の本も、圧倒的に英語が多いです。
(ノースショア最大の町タカプナにある図書館には、日本語や中国語、韓国語の本のコーナーがあります。)
現地校へ通学し始めるとなおさらです。
授業はもちろん、先生やお友達との会話も、英語です。
そして、子供たちは生活に必要な言語をより多く習得しようとします。
使う機会や相手が限られている日本語は、だんだんとその比重を弱めていくようです。
いずれ日本に帰国することがわかっている場合は、そのことが日本語を保持するモチベーションになります。
けれど、永住家庭の場合はどうでしょう?
日本語を保持することに、モチベーションを抱き続けられるでしょうか?
これは、かなり難しいことだと思います。
「だって、英語ができるから問題ないでしょう?」
そんな風に言われた事もあります。
確かに彼らの生活の中では、日本語が使えなくてもさほど不自由しないのです。
新しい言葉や知識も、英語で吸収していくのですから。
お友達や周りの人とのコミュニケーションも然り、です。
家族も英語を理解していますので、得意な言葉で会話をすることが増えていきます。
けれど、日本人である親御さんは、やはり日本語を保持してほしいと願うようです。
日本人であることを忘れないでほしい。
日本を嫌いにならないでほしい。
日本にいる家族(祖父母やいとこなど)ともコミュニケーションをしてほしい。
そうした願いの理由は様々です。
つまり、両親ともに日本人のご家庭でも、どちらかが日本人のご家庭でも、その子供たちにとって、日本語は単なる第二言語ではないのです。
子供たちのアイデンティティにも関わる言葉なのです。
日本語は、彼らにとって継承言語と言ってもいいかと思います。
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